私立学校の教員に残業代を払わないのは違法です

学校教員の長時間労働に注目が集まる中、特に、公立教員を残業代の支払いの対象外とする「給特法」(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)が長時間労働を助長しているとして、制度そのものの見直しが議論されるようになっています。給特法では、公立教員は給料月額の4%分を「教職調整額」として支給される代わりに「時間外勤務手当及び休日勤務手当は、支給しない」と規定しています。

給特法は公立の教員のみ対象としています。私立学校の教員には、一般的な労働者と同様に、労働時間や残業代について、労働基準法が適用されます。私学教員の場合、残業代が払われなければ、労働基準法37条違反になります。学校の就業規則で「公立校に準ずる」などと書いてあったとしても、労働基準法が優先されることになるので無効です。

残業、深夜労働、休日労働などを行った場合は残業代が払われないといけません。

残業代の代わりに、定額の手当(「教職員調整手当」「教員特別手当」など)しか支払われない場合も違法です

あらかじめ一定額の残業代を給料に含んで払う、いわゆる固定残業代(みなし残業代)は、そこに含まれる残業時間を超えた分の残業代は、追加で払わなければなりません。また、そもそも固定残業代が何時間の残業を含んでいるのかをあらかじめ説明していない場合は、固定残業代は無効であり、残業代が一切払われていないという扱いになり、その分を請求していくことができます。

公立学校にならって一定額の手当を支払って残業代の代わりとしている私立学校は非常に多いです。しかし、私立学校の場合には、その額が実際の残業時間と照らして少なかったり、そもそも手当の内容を説明していなければ、違法となります。

36協定のない残業は違法です

労働基準法では、1日8時間・週40時間を超える労働は原則禁止されています。36協定で残業時間の上限を定めていた場合は例外となり、協定で定めた上限時間までの残業は合法となります。

労基法では「公務のために臨時に必要がある場合」についても、残業時間規制の特例としており、給特法では、この特例に公立教員も当てはまると定めており、公立教員は残業を何時間しても、労働基準法に違反しないことになってしまっています。

一方、私立教員はこの例外とも関係がなく、もし1日8時間・週40時間を超える労働をしているにもかかわらず、36協定を締結していないのであれば、直ちに労基法違反となります。36協定があったとしても、実際の残業時間がそこに定めた上限を超えていれば、やはり違法な残業として労働基準監督署の取り締まりの対象となります。

また、36協定を締結するには、労働者の過半数の代表を選挙などで選出しなければならず、代表が適切に選ばれていなければ、36協定は無効となり、1日8時間・週40時間を超える労働は違法となります。

昼休みの生徒指導、教材研究なども労働時間に含まれます

労働基準法34条では、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を労働時間の途中で与えなければならないと定めています。また、休憩時間は労働から離れ自由に利用できなければなりません。たとえば以下のような実態があれば、休憩を取れていないことになり労働基準法違反になります。

昼休み中に…
・生徒指導をしている
・生徒と一緒に給食を取っている
・電話がきたら出なければいけない
・教材研究をしている
など

部活の時間も労働時間に含まれる可能性が高いです

部活動の時間は、「部活手当」などが払われているだけというケースが多いですが、基本的には労働時間に含まれる可能性が高いです。手当が実際の労働時間と照らして十分でなければ、未払い分を請求できます。

労働時間の記録を残すことが重要です

多くの学校で、タイムカードが導入されていないなど労働時間管理が適切に行われていない実態があります。これは、厚生労働省が出しているガイドライン(「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」)にも反しており問題です。

そのため、自分で労働時間の記録をつけておくことが重要です。出退勤時間を毎日メモするだけでも、立派な証拠になります。証拠があれば、労働基準監督署、労働組合、裁判などの方法で、労働時間を証明し、未払い残業代を取り戻すことができます。

出退勤時間だけでなく、何時から何時までどんな作業をしていたのか、だれからどんなことを言われたのかなど、メモが詳細であるほど法的に有利な証拠になります。