【N高】学校の見解に対する現場教員の声をお伝えします!

こんにちは。

私学教員ユニオンN高支部です。私たちは、N高の労働環境・教育環境改善のため、学校と話し合い(団体交渉)をしています。

5月24日、ダイヤモンドオンラインにてN高で働く教員の過重労働や教育環境の問題をまとめた記事が配信されました。

角川ドワンゴN高は「教師1人で150人担任」が当たり前の超過酷職場だった!【スクープ】

その後、同日にN高HPにて「当学園についての一部報道に対する見解につきまして」がアップされました。

この学校の主張は、私たちの労働組合に加入する現職教員たちが日々経験している実態とは異なる部分が多々あります。
そのため具体的な相違点について、下記のようにまとめましたのでご覧ください。

1、「超過酷職場」について

 『教員の2020年度の平均残業時間は月21.5時間』とありますが、ネットコース教員だけの平均であるのか等詳細が不明のため団体交渉にて確認します。
 また、『レポート提出…オンラインで教員が確認できる仕組みが整っている』とありますが、ネットコース教員はスクーリング業務、約150人の担任業務にプラスして、年間約1万件のレポート添削業務に追われます。その為、組合員含めスクーリングが多い月だと残業時間が月70時間を越え、かつ休憩も取れない教員がいるのが実態です。
 厚生労働省の定める過労死認定基準が月80時間ですので、それに近い「過酷な労働」をしているのです。また、主事や主幹と役職のある教員は、労働基準法の原則となっている月45時間の上限をゆうに上回る残業をしています。
 加えて、『40時間を超える時間外労働分についての割増賃金は追加で支給しております』とありますが、追加で支給されるべき割増賃金が未払いの状況です。
 こちらは、団体交渉にて確認と請求を行っています。

2、スクーリングについて

 『通信制高校の当校ではオンライン授業を取り入れており、教員が日々の授業を自ら行うわけではありません。教員の授業の担当は生徒1人あたり1年間に5日間程度のスクーリング時のみとなっております。』とありますが、普段のレポートをネット学習で行うこと自体は事実です。
 しかし、スクーリングはネットコース教員が授業を対面でしています。生徒からすると年5日のスクーリングですが、教員からすると、約2万名の生徒(通学コース・バンタン高等学院など含む)のスクーリングを担当するため、ネットコース教員は1年中ほぼ毎日授業があります。そしてスクーリングの日は、1コマ目(1時間目)から定時過ぎまで授業で埋まっている教員もおり、昨年度の授業数に関しては全日制の教員と比べても同じか、それ以上のコマ数の授業を担当しました。


3、担任数について

 教員の担当生徒数は高等学校通信教育規程ならびに沖縄県私立高等学校通信制課程の認可に係る審査基準に従っていることは事実です。
 しかしながら、N高に期待して入学する生徒層は多岐に渡ります。そのため、1人1人にじっくり向き合う必要があり、担任生徒数が150名では、1人1人にあったサポートは現状難しいと私たちは考えます。

4、家庭との連絡頻度について

 『最低月に1回以上の電子メール送信、ビデオ会議ツールのZoom(ズーム)で2カ月に1回以上の面談、3カ月に1回の保護者との面談』について、こちらは連絡頻度の目安としてネットコース教員に課されているものです。
 そもそも、このような連絡頻度の目安も学校の方針としてしっかりと定めているように記載されておりますが、実際は年度途中で指針がころころと変わり、現場の教員はその度に生徒への対応が変わり困惑しています。

 そして、その目安に則ったとしても、スクーリング期間中は全生徒と面談をするための時間を確保することが出来ない月もありました。面談にかけられる時間が非常に限られていたため、諸事情により面談を休んでしまった生徒への対応が出来ず、次の面談はさらに2カ月後となる生徒もいました。

 そもそも、連絡頻度の目安に則った連絡頻度では、これからの人生を決める進路相談などを親身に行うには不十分です。全日制高校であれば毎日顔を合わせて相談などが出来ますが、通信制高校では、連絡頻度の目安で定められているものやslackでのコミュニケーションなどを併せても、過酷な労働環境で十分なサポートが行うことが出来ない現状があります。そこに多くの教員が歯がゆさを感じています。

5、最後に

 上記の問題点を団体交渉で訴えたところ、管理職からは「回っている先生もいる」など”回る”という教育現場に使うべきでない言葉が出てきました。それだけギリギリの状況で現場が動いているほど、ここに書ききれないような多重な業務が沢山あります。
 教員の労働環境を整え、1人1人の生徒に誠心誠意向き合える教育環境の実現を学校に訴えていきます。

 最後に、N高はもちろん他の教育現場含め労働環境や生徒への教育環境に疑問がある教員の方は、ぜひ私たちへ連絡をください。一緒に学校現場を変えていきましょう。