【#東洋大牛久】「部活顧問任意制」労働協約について厚労省で記者会見をしました!

会見に参加したAさん(右)と組合メンバー

私たち私学教員ユニオンは、東洋大付属牛久中高と過重労働の改善に向けて、団体交渉をしていました。

その結果、東洋大付属牛久中高の教員全員が部活顧問の就任が任意となる「労働協約」を締結できました。

11月22日に厚生労働省にて記者会見をしたところ、NHKをはじめ、以下のように多くのメディアに取り上げられました。

教員の過重労働の最大の原因である「部活動」の顧問から外れると、大幅な労働時間の削減が実現可能です。

労働組合では労働組合法に基づき、学校と対等に話し合いの場をすることができ、約束は「労働協約」として法的強制力を持ちます。また、労働組合で声を上げたことに対する報復行為は違法になります。

ぜひ、教員本来の業務である授業やクラス運営に集中したい方、自身の教員としての能力を向上させたい方は、ユニオンの仲間と一緒に学校に対して「顧問拒否」を求めましょう。生徒・保護者に対して、「教育の質」を高めることにもつながります。

一緒に、教育業界の「常識」を変えていきましょう!

11月22日 NHK 茨城 私立の中高一貫校“部活顧問引き受けは任意”の労働協約

https://www3.nhk.or.jp/lnews/mito/20221122/1070019262.html

教員の長時間労働を生む背景の一つとして部活動への対応が指摘されるなか、茨城県の私立の中高一貫校で部活動の顧問を引き受けるかどうかは教員の任意とするという内容の労働協約が結ばれました。

労働協約は、茨城県にある東洋大学付属牛久中学・高校の運営法人と学校の教員が所属する労働組合との間で結ばれました。
労働協約では、部活動の顧問を引き受けるかどうかは教員の任意とし、顧問に就かないという理由で不利益な扱いを受けないとしています。
また、顧問をしている教員が負担の軽減を求めた場合は、指導員を採用するといった対応をとることなども盛り込まれています。
この中学・高校で働くすべての教員が対象になるということです。
会見で30代の男性教員は「これまで部活動にあてていた時間を授業の準備に使えるなど、教育の質も上がると思います。教育界全体が変わるきっかけになってほしいです」と話していました。


運営法人の東洋大学は「教員の負担軽減を実現させるための一つとして協約を結びました。教員の働きやすい環境につながることを願っています」としています。


教員の長時間労働を生む背景の一つとして部活動への対応が指摘されるなか、同様の動きが広がるか注目されますが、文部科学省によりますと公立の場合は私立と異なり、法律上、月給の4%分が上乗せされ、時間外の部活動はこのなかで教員の自主性に基づいて行っているとされるため、こうした協約は想定できないとしています。

2022年11月22日 弁護士ドットコム 東洋大附属中高で「部活顧問任意制」、労働協約を締結 男性教員「本当は授業のために時間を使いたい」

https://www.bengo4.com/c_5/n_15293/

「部活顧問」が学校の先生の多忙化の大きな要因となる中、茨城県の私立学校で「部活顧問への就任を任意」とする画期的な取り決めが締結された。

労働協約(労働組合と使用者との間の労働条件その他に関する書面による取り決め)を締結したのは、東洋大附属牛久中・高校(茨城県牛久市)で働く現役教員(30代男性)。男性と男性が加入する「私学教員ユニオン」(総合サポートユニオン私学教員支部)らが11月22日、会見を開いて発表した。

東洋大広報課によると、適用対象教員は93人。男性は「今回の労働協約の締結は、熱意ある教員の能力を教科指導や学級運営、進路指導に当てられるようになります。そのような方向へ、教員業界全体を変えていきたいです」と話した。


●「自由に顧問を拒否できる内容で画期的」

労働協約の内容は、以下の通り。

(1)学校法人東洋大学は、東洋大学附属牛久中学校・高等学校に所属する教員の部活動顧問への就任を任意とする。また、部活動顧問に就任しない教員に対して不利益な取り扱いを行わない。
(2)学校法人東洋大学は、部活動顧問に就いている教員から部活動の負担軽減の求めがあった場合には、部活動指導員を採用する等、部活動顧問の負担を軽減する。
(3)学校法人東洋大学は、教員募集時に教員の部活動顧問への就任は任意である旨、募集要項に明記する。

私学教員ユニオンの佐藤学さんは「不利益な取り扱いをしないという点も明記し、自由に顧問を拒否できる内容で画期的だ。私学は生徒募集に直結するので、部活動が過熱している。部活顧問を任意にできることは、非常に大きな影響を与える」と評価した。


●主顧問が出てこないのはおかしいという風潮

男性は2016年に常勤講師として採用され、その後専任教員として勤務してきた。2018年から高校の運動部顧問に就任。平日授業後の活動のほか、土曜日は授業後、日曜日は練習試合や大会などがあり、週5〜6日ほど活動していた。男性の週休は平日に1日あったが、顧問をする運動部の体育館の割り当てがあったため、学校に行かざるを得なかったという。

「副顧問をつけてもらったが、主顧問が出てこないのはおかしいという風潮があり、行かなければならなかった。部活顧問は若い教員がやる雰囲気があり、若い人がやっていないと『なぜやっていない』という雰囲気がただよった」(男性)

2018年3月にはスポーツ庁により運動部活動ガイドラインが策定され、1日あたりの活動時間の上限や、週2日の休養日などが定められた。東洋大附属牛久中高でもそれに準じた形のガイドラインができたが、実際には守られていなかったという。

男性は2021年5月に、部活動の負担が主な原因で適応障害と診断され休職した。復職後にあった2022年度の校務分掌の希望届では、A4で11ページの要望書を作り、部活顧問を外してもらった。

男性は「教員はすごく一生懸命で、生徒のために自らを犠牲にしてまで仕事に没頭する人が本当に多い職業。多岐に渡った仕事も全てこなせるスーパーマンのような人はごく一部いますが、大抵の教員は普通の人間であり、普通の労働者だと思います。本当は授業のために時間を使いたいという多くの教員のために、今回の部活顧問任意制は大きな意義があると思っています」と話した。

東洋大学広報課は取材に「この取り組みが教員の働きやすい労働環境に繋がることを願っております」とコメントした。

2022/11/22 毎日新聞 「部活顧問は任意」東洋大牛久中・高で労働協約 教員の負担軽減へ

https://mainichi.jp/articles/20221122/k00/00m/040/203000c

 東洋大牛久中学・高校(茨城県牛久市)で、教員が部活動の顧問に就くかどうかは、教員自身の任意であることを確認する労働協約が締結された。私立学校の教員らでつくる「私学教員ユニオン」が22日、東京都内で記者会見を開き、明らかにした。部活指導を巡っては、公立中を中心に顧問を務める教員の長時間労働につながっており、全国の学校で課題になっている。

 労働協約は10月25日、ユニオンと、同校の運営法人である東洋大が結んだ。教員の部活顧問の就任は任意▽教員の要望に応じて外部指導員の採用などを進める▽顧問就任は任意であると教員採用の募集要項に明記する――ことを確認した。同校に勤務する教員約100人全員に適用される。

 ユニオンによると、同校では2021年、男性教員(30代)が長時間に及ぶ部活指導の負担などを背景に、最長で残業が月90時間を超える長時間勤務が続き、適応障害を発症して休職。龍ケ崎労働基準監督署が今年9月、違法な時間外労働をさせていたとして同校に是正勧告を出した。

 男性教員は22日にユニオンとともに記者会見し、体調を崩した最大の要因に、長時間労働や休日出勤を余儀なくされる運動部顧問の仕事があったと説明した。負担に耐えかね、担当を替えてもらえるよう管理職に繰り返し相談したが、取り合ってもらえずに心身の負担が増していったという。

 「平日の夕方や休日が部活で拘束されることは、授業準備など他の仕事の質の低下につながる」と強調。労働協約によって、部活指導を担うかどうかは教員の任意であると認められた点については「自分以外にも苦しんでいる教員はいる。任意制が広がることは、日本の教育全体の改善につながると思う」と話した。現在は職場に復帰している。

 東洋大は、協約締結について「この取り組みが教員の働きやすい労働環境につながることを願っている」としている。

2022/11/22  読売新聞 部活動の顧問「任意制」に…東洋大が「私学教員ユニオン」と労働協約、付属校で適用

https://www.yomiuri.co.jp/national/20221122-OYT1T50238/

 学校法人・東洋大学(東京)と労働組合「私学教員ユニオン」(同)が、東洋大付属牛久中・高(茨城県牛久市)に勤務する全教員を対象に、部活動の顧問就任を任意とする労働協約を締結した。ユニオンが22日、東京都内で記者会見し、明らかにした。部活動は教員の長時間労働の一因とされ、顧問就任の任意制導入は全国的に珍しいという。

 協約締結は10月25日付。私学教員ユニオンによると、協約では教員の部活動への関与について、〈1〉顧問就任を任意とし、就任しない教員に不利益な扱いをしない〈2〉顧問の教員から求めがあれば、外部指導員を採用するなどして負担を軽減する〈3〉顧問就任が任意であることを教員募集要項に明記する――などと定めた。

 私学教員ユニオンには、私立学校の教員らが個人で加入。東洋大付属牛久中・高で運動部の顧問を務めた30歳代の男性教員が労働条件の改善などを訴えていた。記者会見で、男性は「部活動で長時間拘束され、授業の準備など他の業務に影響が出ていた。任意制の導入は教育の質の向上につながる」と話した。東洋大学は読売新聞の取材に「顧問就任を強制してはいないが、部活動の安全性を担保するため、お願いしてきた。教員が働きやすい労働環境につながることを願っている」とコメントした。

 部活動は、教育課程にはあたらないが学校教育の一環として根付いてきた。一方で、顧問の教員が長時間拘束されるといった問題も顕在化。政府が今月、公表した改善のための指針案では、教員以外の職員配置や外部指導者の採用などを求めている。

 名古屋大の内田良教授(教育社会学)は「顧問就任は、教員志望者が中高での勤務を敬遠する理由にもなっている。任意制の導入は前進だ」と評価。高校教員の経験がある黒沢寛己・びわこ成蹊スポーツ大教授(スポーツ政策学)は「部活動は生徒が困難を乗り越える力を養う機会でもある。教員の負担軽減策とともに、部活動を維持する方策も検討する必要がある」と指摘している。

2022/11/23 テレビ朝日 部活動の顧問「任意に」 東洋大と私学教員ユニオンが労働協約

https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000276906.html

 教員の過重労働の要因と指摘されている、部活動の顧問への就任を任意とする労働協約を、私立学校の教員が加入する労働組合と、付属の中学・高校を持つ東洋大学が結んだことが分かりました。

 東洋大学付属牛久中高・男性教員(30代):「今後の教育業界にとって、かなり大きな兆しになると信じております」

 茨城県にある東洋大学付属牛久中学・高校に勤める30代の男性教諭は、運動部の顧問をしていた去年5月に適応障害と診断され休職しました。

 当時は休日出勤も含めて週に30時間ほどを部活動に割いていました。

 こうした実態が過重労働につながったとして男性の加入する「私学教員ユニオン」は、学校を運営する東洋大学と労働協約を結んだと発表しました。

 協約では、付属の中学・高校に勤める教員全員に対して顧問への就任を任意とすることや、不利益な取り扱いを行わないことを取り決めています。

 部活動の顧問を巡るこのような労働協約は国内初とみられています。

2022年11月24日 buzzfeed「部活動は教員のやりがい搾取…」そんな現実を変えるため「部活顧問は任意」へ 茨城の私立中高

https://www.buzzfeed.com/jp/harukayoshida/bukatsu

教員の長時間労働の大きな要因とされている部活動。

国も公立中学の土日の部活について「地域移行」を進めるなどの対策に乗り出すなか、私学で新たな動きがあった。

東洋大牛久中学・高校(茨城県牛久市)を運営する学校法人・東洋大学と同校の教員1人が所属する労働組合「私学教育ユニオン」の間で、部活動の顧問への就任を教員の任意とする労働協約が締結された。ユニオンが11月22日、記者会見で明らかにした。

同ユニオンによると、こうした労働協約はおそらく全国初だという。

“断った教員へ不利益な取り扱いをしない”などと定める

2016年の教員勤務実態調査によると、中学校の教員の6割が、国が定める「過労死ライン」である月80時間を超える残業をしていたことが分かっている。

背景にあるのが、教員の部活指導だ。

平日の朝や放課後の部活指導が残業の要因になっているほか、試合などの引率で休日出勤が常態化している教員もいる。OECDが2018年に実施した調査によると、中学校教員の1週間の勤務時間のうち部活指導など「課外活動」に費やされる時間は、日本は平均7.5時間で、参加国平均の約4倍にのぼる。

こうした部活顧問への就任は任意であるものの、実質上「義務化」されている現状が問題視されてきた。

国も対策に乗り出し、2023年度から3年間をかけて、公立中学の土日の部活動を民間のスポーツクラブなどに委ねる「地域移行」を進めるとしている。

こうしたなか、今回、東洋大牛久中学・高校で結ばれた労働協約は、教員の部活顧問の就任は任意であることを確認するものだ。

協定ではその上で、顧問就任を断った教員に対して不利益な取り扱いをしない▽顧問を務める教員から負担軽減の求めがあった場合には指導員採用などの対応をする▽顧問就任は任意である旨を教員採用の募集要項に明記する──などと定めている。

労働協約は、同校で働くすべての教員約100人に適用される。

「授業のために時間を使いたい多くの教員のために」

22日の記者会見には、ユニオンに加入する同校の男性教員(30代)も参加した。男性教員は2021年、運動部の部活指導による長時間労働を背景に、適応障害を発症して休職。残業時間は最長で月94時間にのぼったという。龍ケ崎労働基準監督署は9月、違法な時間外労働と残業代の不払いがあったとして、学校に是正勧告を出した。

男性教員は部活顧問だった当時について、月曜から土曜までの放課後4時間、日曜の試合など部活指導にほぼ連日拘束されていたと振り返り、「部活動は教員のやりがい搾取」で成り立っているなどと訴えた。拘束時間の長さと疲労などから、授業の準備や生徒の進路指導もおろそかになってしまっていたという。

その上で、「授業のために時間を使いたい多くの教員のために、部活顧問任意制はすごく大きな意義がある」と語った。男性は現在、職場に復帰しており、部活の顧問は務めていない。

東洋大学の広報は24日、BuzzFeed Newsの取材に対し、「以前より附属校教員全体で負軽減を実現させるための検討を重ねており、今回その一つとして協約を結んだ。この取り組みが教員の働きやすい労働環境に繋がることを願っている」と語った。

ユニオン代表の佐藤学さんは、私学は部活動に力を注いでいる場合が多いと指摘し、「東洋大牛久中学・高校もスポーツが比較的盛んな学校。こういう学校で部活顧問が任意できるということは教育業界全体にも非常に大きな影響を与えると思う」と期待を語った。