平和学園(アレセイア湘南中学高等学校)に団体交渉を申し入れました

私学教員ユニオンは、1月23日、学校法人平和学園に対し、アレセイア湘南中学高等学校の常勤講師のAさんの雇用の継続、5年以上継続雇用する教職員の無期雇用化、未払い残業代の支払いなどを求めて団体交渉を申し入れました。

申入れに至る経緯と私たちが学校に要求している内容についてみなさんにご報告いたします。

■専任の約束なのに途中で契約打ち切り・・・

 Aさんは「常勤講師3年の後、専任にする」という約束で、一昨年4月から学校法人平和学園に雇われ、アレセイア湘南中学高等学校に赴任しましたました。Aさんは、社会科常勤講師として教科の授業、担任業務、文化祭のとりまとめ等、一生懸命業務にあたってきました。2022に年には専任になることを考え、学校のすぐ傍に引っ越しもしました。
 ところが2022年10月、校長及び副校長が「契約は今年度まで、来年度は契約更新しない」と雇い止めを突然通告したのです。Aさんにとっては青天の霹靂でした。しかも雇い止めの理由は、文化祭の激務で疲れが取れなかったことを理由に有休をとろうとしたこと、授業で変形労働時間制を採っている企業はブラック企業ばかりだから気を付けるようにと注意を促したことや、スポーツ大会にワイシャツで出たことなど、不当な理由ばかりだったのです。Aさんは唖然としました。

■労働者の権利のために生きた賀川豊彦の作った法人なのに・・・

 学校法人平和学園は、「労働組合の父」と呼ばれる賀川豊彦が創設した学校法人です。賀川豊彦は労働者が、人が人たるに値する労働、そして人生を送れるように生涯努力された方でした。「労働法の定める最低限に満足せず、もっとよい労働環境を目指そう」と労働組合をつくったのも彼です。そして、この賀川豊彦の思想を重んじると平和学園は公言しています。
 しかし平和学園の実態は賀川豊彦の理念と真っ向から反するものになってしまっています。長時間労働が当たり前のようになっているにもかかわらず、残業代すら払わず、36協定すら結んでいない状況で、よい労働環境を目指すどころか労働基準法ですら守られていません。そして挙句の果てにはAさんの雇用を不当に打ち切ったのです。
 Aさんは口先だけで人権をうたいながら平気で教員の権利を踏みにじる平和学園がとても許せないと思い、私学教員ユニオンに加入し、改善を求めることにしました。

私たちは、Aさんの雇用継続以外にも下記の点の改善を求めています。

・部活顧問任意制の導入し長時間労働の抑制すること

 教育業界全体の課題でもありますが、この学校でも長時間労働があります。職員室では、「人手が足りない」「現場が疲弊している」という声が頻繁に出ています。そこで私たちは私学教員ユニオンが取り組んでいる部活顧問任意制の導入を平和学園に求めました。部活顧問任意制では、部活をやりたい教員だけが顧問につき、足りない部活指導は外部講師に担わせるという方式です。これで大幅な労働時間の削減が可能となります。

○長すぎる3年の試用期間を短縮すること

 学校法人平和学園https://www.aletheia.ac.jp/、アレセイア湘南中学高等学校の教員採用では、「3年間の常勤講師雇用を試用期間とし、その後専任とする」という方式を採っています。3年はあまりにも長い期間で教員の生活を蔑ろにする制度と考えます。また、この制度のせいで、将来が不安になり辞めていく教員もいる、という事実もあります。私たちはこの不当に長大な試用期間の短縮を求めます。

○労働契約法で定められた無期転換ルールを守ること

 労働契約法では、有期雇用契約者(学校だと非常勤講師や常勤講師)が5年同じ職場で働いたのであれば、無期雇用契約に変更するよう使用者へ申請でき、また使用者はこれを断れない事が定められています。しかしこのルールが周知されておらず、また有期雇用契約者の側も、「そのような事をして、来年から時間数が減らされ、給料が減ってしまったらどうしよう」と不安になり、無期転換の申し出をすることができません。
 この労働契約法の条文を無視した状態の是正を求めています。

○労働基準法を順守してもらいたい

 労働基準法は「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」とし、その最低限の労働条件について定めた法律です。平和学園は残念ながらこの法律を守っていません。

〇36協定が存在せず、残業が違法になっている

 私立学校教員の労働時間は、一般企業の社員と同じ法律が適用されます。例えば労働時間の上限は1日8時間まで且つ1週間40時間まで、という労働基準法のルールが適用されます。これ以上の労働は違法となり、もしこれ以上の労働(いわゆる残業、時間外労働)がある場合は、別途三六協定を結び割増賃金(いわゆる残業代)を支払わねばなりません。
 しかしながら、アレセイア湘南中学高等学校は、労働者との間に三六協定を結んでいません。にも拘らず、1日8時間以上の労働が常態化しています。先生方の中には、週100時間労働を強いられている人もいます。

〇未払い残業代を支払うこと

 平和学園では、公立学校に倣った「基本給の4%のみを残業代として支給して、残業代を払ったという事にする」方式を採用し、それ以上の残業があっても支払われません(特勤手当として少額が休日出勤などに出ていますが、これは時間外割増賃金として支給されているものではありません)。

○今年4月以降の労働条件の変更を適正に行うこと

 アレセイア湘南中学高等学校は、労働基準監督署からの是正勧告を受け、今年4月からの労働条件を変更しようとしています。その内容は教員の労働条件を不利益に変更する内容になる可能性があると私たちは考えています。
 その筆頭は1年単位の変形労働時間制の導入です。変形労働時間制は、繁忙期と閑散期の労働時間を平均して週40時間以内に収めることで、繁忙期に1日8時間以上働いても残業代を支払う義務がなくなる制度です。この制度は使用者ばかりに都合の良い制度で、長時間労働の温床にもなっている悪名高い制度です。

■平和学園の皆さん、平和学園をまともな学校に変えるチャンスは、今です。一緒に改善を求めましょう。

 平和学園では過去にも労働組合が立ち上げられ、教員の権利擁護を求める取り組みがあったとききますが、いまは残念ながらその動きも落ち着いており、法人による権利侵害が横行するような状況です。
 Aさんはそうした中で勇気を振り絞って私学教員ユニオンに加入し、改善を求めることにしました。私学教員ユニオンはAさんと一緒に平和学園に対して改善を強く求めます。
 いまが学校を変える最大のチャンスです。
 学校内の組合に入っておられる方でもそうでない方でも一緒に改善を求めることができます。どうか私たちの闘いに連帯して一緒に行動してください。まずはお気軽にご連絡いただければと思います。秘密は厳守いたします。

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