【東海大浦安】労働時間の証拠を認めず、雇い止めは引き続き強行する学校
先日、第5回団体交渉を行いました。
団体交渉の目的は、以下の3点が大きなものでした。
①実際に働いていた労働時間を認めさせること
②無期雇用への転換について認めさせること
③校長や法人本部の人事責任者の参加を認めさせること
◆タイムカードがなかったのに、組合側の労働時間の記録は認めない不誠実な姿勢
①の労働時間に関してですが、私は学校がタイムカードを非常勤講師にだけ使わせないという差別をしていたため、自ら労働時間の立証のため出退勤の際に用務員室の時計を撮影していました。以下は、その写真の一例であり、20時頃まで残業をしていた証拠です。
これらの写真と別で自分で残していた労働時間のメモをもとに、私たちは実際の労働時間を主張していました。また、私は学校に対し、当時専任・特任のみに導入されていたタイムカードを非常勤講師にも導入するように交渉していました。
これに対し学校側は、以下のような回答でした。
・組合が出した証拠では勤務時間を把握できない
・授業準備を含め1コマ80分として業務としているが、それ以外は業務とは考えていない
・現在勤務する非常勤講師3名に聞き取りしたが、長時間勤務はしていないので、組合員の示す勤務時間は信じられない
・非常勤講師のタイムカードの導入に1年間かかったが、労務管理は問題ない
学校側は、私が「労働時間の記録を残そう」と明確な意思に基づいてとっていた記録を否定してきました。出退勤時間の記録があっても、勤務時間として認められないのであれば、東海大浦安でこれから始まる勤務時間管理も、出退勤時間のみの把握なので、意味のないものです。
また、現在勤務している非常勤講師の方は、どなたも私よりも経験豊富な先生方です。その先生方の働き方を中等部副校長が聞き取りをし、2年前の今よりも若い駆け出しの教師の私の働き方を比べて、学校側は回答をしてきます。しかし、これはおかしな話です。なぜなら、「勤怠時間を把握したことがない2022年現在の他人の働き方で、2019年の私の勤務時間が決まる」からです。
◆非常勤講師を「雇用の調整弁」としか見ていない学校の姿勢
②の無期雇用転換に関してですが、学校法人東海大学は2014年に「更新限度は5年」とすることを付属校全体へ決めたようです。これは2013年から始まった「無期雇用転換ルール」の適用を避けるためで、意図的な「脱法手段」であると私たちは考えています。
また、交渉の中では私の雇い止め理由が、「来年度の授業数の減少」→「経営が難しいから」→「法律で5年上限と決まっているから」などと、交渉の度に二転三転しています。
経営難などと言いますが、東海大学は新学部を設置しますので、お金があります。また、大学の入学式で花火を打ち上げるくらいですから、資金があります。ですからこちらも理由にならないと思います。
こちらも今回の交渉では、話が平行線になりました。やはり、学校側がこれまで団体交渉で言っていた通り「非常勤講師は雇用の調節弁」としか考えていないのでしょう。
◆校長や法人本部の権限ある人間が来ない無責任な対応
また最後に、私たちは学校側へ「人事権を持つ人物や校長の団体交渉への参加」を求めましたが、学校側は校長などは参加する必要はないと回答してきました。現在、事務室にいる事務長が交渉に参加していますが、事務長は本部の人事課に連絡を取るだけで、事務長では回答しきれない問題の方が多いです。それならば、学校法人として権限のある本部の人事課の上席が最初から参加すればいいだけの話です。
私は聖望学園など私学教員ユニオンで闘っている他の私立学校の団体交渉にも参加をしましたが、「普通」の私立学校の団体交渉には校長は参加をします。これは副校長以下の立場の人間を隠れ蓑にし、言質をとられないようにする術なのでしょうが、労働者の生活を左右しておいて、権限ある人間が説明責任を直接果たさないのはあまりに不誠実です。
時間も残されていませんので、ここからは、現在一緒に闘っている、N高や聖望学園の仲間たちとも協力し、教育業界に広がる非正規雇用教員の劣悪な状況を変えていくため活動していく予定です。
教員の労働環境は生徒への教育の質に直結します。ぜひ、多くのみなさんに教育業界に広がる非正規雇用教員の問題を知っていただきたいです。