【#広尾学園】客観的人事評価基準を示すと評価がやりにくくなる?(第二回団体交渉報告)

広尾学園

10月27日(金)、広尾学園との第二回団体交渉が開催されました。これまでの経緯は、こちらのブログをご参照ください。https://note.com/embed/notes/n820427e3d130

 前回は、池田理事長も出席されましたが、今回は欠席でした。なぜ、欠席なのか質問いたしましたが、学園側から回答はいただけませんでした。学園側の出席者は、副校長、副校長補佐、教頭2名、現事務局長、前事務局長と学園側の弁護士の計7名が出席しました。

 団体交渉では、3つの議題に関して話し合いました。前回の団体交渉で、学園側は私たちが改善を求める定年再雇用以外の労働問題について、団体交渉の議題にすることすら事実上拒否し、団体交渉が成立しませんでした。

 しかし、第二回団体交渉開催にあたっては一転して、私たちが議題として求めた項目について基本的に交渉に応じるようになりました。不当労働行為という労働組合法違反になってしまうことをやっと理解したのかもしれません。

 ただし、今回のたった1時間の交渉ではすべてを話し合うことはできませんので、主に①組合員Aさんの定年再雇用問題、②休憩時間、③タイムカードの導入の3点に関して話し合いました。

①Aさんの定年再雇用問題について


今まで、定年再雇用を希望した教職員はすべて本人の希望通りの常勤雇用となっていました。ところが、Aさんだけ希望通りの常勤雇用とならず、非常勤講師となりました。

私学教員ユニオンに加入する以前に、Aさんがその理由について文書回答を求めると、学園側は「人事計画と職場の要員状況」であると回答しました。

抽象的な内容なので、Aさんはさらに文書で具体的で合理的な説明を求めましたが、学園側はそれ以上の回答を拒否しました。そこで、Aさんは労働組合を通じて団体交渉の申し入れをしたところ、団体交渉の直前に学園の代理人弁護士から、Aさんを非正規雇用の非常勤講師とした本当の理由は「教職員間のコミュニケーション手法の疑義」であると突然通告してきました。

これは理由の「後付け」ではないでしょうか?そして、今回の団体交渉では、再雇用に関して、Aさんは「(何らかの)評価」をされて非常勤講師となったと学園側は回答しましたが、事前にそのような「評価」や「基準」があることはAさんには伝えられていませんでした。

つまり、本人に知らせてもいない人事評価基準で学園は「評価」を行ったことになります。さらに学園に対して、これらの人事評価基準をなぜ事前にAさんへ周知しなかったのかと聞くと、基準を明確にすると評価がやりにくくなるからと回答しました。

客観的な人事評価基準を労働者へ明示しないということは、いくらでも幹部の「好き嫌い人事」ができてしまうのではないでしょうか。生徒ではなく、上司の顔色を伺って仕事をするような教育現場になってしまわないでしょうか。

②休憩時間について


Aさんは、昼休みに小テストやレポート等の確認などの業務を行っているため、休憩時間が十分にとれていない日があります。

学校は、授業がない「空きコマ」などを利用し、Aさんは休憩を取れていたはずなどと言っていますが、休憩時間については、法律上労働者皆に特定の時間において「一斉付与」しなければならないという原則があります。労働者が一斉に休憩をとれない場合には、労働基準法第34条第2項に基づき、一斉付与の適用除外の労使協定を結ぶ必要がありますが、学園はそのような労使協定を結んでおりませんでした。

学校は自身の主張の前提さえ満たしていないと考えられます。

③非常勤講師のタイムカードが昨年の9月に突然廃止されたことについて

広尾学園では、2022年8月をもって突然非常勤講師のタイムカードが廃止され、労働時間の記入欄がない書類にハンコを押すだけになりました。これでは、客観的にいつからいつまで働いたかわからず、長時間労働や賃金不払い等の問題が生じやすくなります。

また、そもそも、タイムカードなどの客観的な労働時間管理は、法律上義務付けられています。以下の記事にあるように、文科省も「法律で義務づけられており100%を目指したい」と2020年の時点で述べています。「教員の働き方改革」が社会問題となっている中で、2022年にタイムカードを廃止した学園の対応がいかにおかしいかは明らかです。

進む教員のタイムカード管理 6府県が9割超、最低は…(2020年12月25日・朝日新聞)

団体交渉にて、その点を指摘したところ、学園側のある管理職は、「タイムカードがある学校がよい学校とは限らない」と言い放ちました。また、他の管理職は、タイムカードを廃止した理由は「タイムカードを置くスペースが無くなったから」などと述べていました。

学校幹部たちの主張は理解に苦しむものでした。労働時間の管理という、最も基本的な部分さえ軽視する学校の姿勢が浮き彫りになりました。

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