【#広尾学園】未払い賃金やタイムカード廃止など、労働基準監督署からの是正勧告が出ました!
私たち私学教員ユニオンへ、東京都港区にある「広尾学園中学校・高等学校」で働く非常勤講師Aさんが加入し、今年5月から労働環境・教育環境の改善を求めて団体交渉(労働組合法に則った話し合い)をしています。
Aさんの定年後再雇用での差別、未払い賃金、タイムカードの廃止、休憩未取得、有給休暇の未取得、非正規教員の待遇改善など、学内で起きている様々な問題を私たちは変えていこうと取り組んでいます。
これまでの団体交渉の進捗は以下のブログをご覧ください。この間、学校側は改善に立ち上がったAさんに対して連続して嫌がらせと取れる懲戒処分をしてくるなど、攻撃を強めています。しかし、Aさんも私たちも、そのような不当な攻撃に対しては、抗議をして闘っています。
https://note.com/embed/notes/n1fb56bb1f68b
今回のブログでは、11/20に三田労働基準監督署から学校に対して出された、是正勧告についてご報告します。是正勧告とは、行政が公的に法律違反を認定した際に出る行政指導のことです。
学校側は、様々な理由をつけて違法行為を認めていませんでしたが、この度、公的判断が下されました。
私たちは、学校に対して、団体交渉に誠実に応じ、自らの違法行為やAさんへの嫌がらせを速やかに是正することを求めています。
◆11/20に出た三田労働基準監督署からの是正勧告
Aさんと私たちは、三田労働基準監督署へ学内の法律違反について通報をしました。その結果、11/20に以下の3つの労働基準法・労働安全衛生法違反をしていると三田労働基準監督署が是正勧告を出しました。
①労働基準法24条、37条違反(賃金未払い、割増賃金未払い)
②労働安全衛生法66条の8の3違反(タイムカードなどによる客観的な労働時間の把握ができていない)
③労働基準法39条の7違反(法律で義務となる年5日間の有給休暇の消化ができていない)
◆問題となる非常勤講師の労働実態
①賃金未払い
Aさんら非常勤講師は、授業1コマ(50分)に対して30分の付随業務に対する賃金が払われていますが、その30分の中では、授業準備や教材研究はもちろん、小テストの作問・採点、レポートの課題作成・提出後の評価、生徒の質問対応、定期試験問題の作成・印刷・梱包・採点・平常点の換算など、数多くの業務は終わりません。つまり、業務の多さに対して、十分な賃金が払われていないのが実情です。
学内では業務が終わりきらず、自宅で「持ち帰り残業」をすることもありますし、休憩も十分に取れていないこともAさんはありました。
特に、定期試験の採点や成績処理業務は、情報管理の関係から学内で行わなければならないため、休日出勤をして業務をしている非常勤講師もいます。しかし、その際には、交通費のみ支給され、肝心の採点や成績処理業務に対する賃金は払われません。
以上のようにどれだけ働いても固定の賃金しか払われない「定額働かせ放題」の状況が学内に広がっています。
②突然のタイムカードの廃止
Aさんら非常勤講師は、2022年の8月まで、タイムカードで出退勤を管理されていました。ところが、2022年の9月から、突然タイムカードが廃止され、ハンコを捺すだけの紙媒体の「出勤簿」に変わりました。それでは、出勤したことはわかっても、何時から何時まで働いていたかは記録が残りません。
タイムカードを廃止した理由について、学園は私たちの前で、「タイムカードを使用する人が多くなったから」などと言いました。これは、廃止の理由になりません。勤務時間が記録されなくなることで、過重労働や残業代不払いが生じる危険性があります。
文科省も「教員の働き方改革」を進める上で、タイムカード等での労働時間の客観的把握を求めており、広尾学園はそのような国の流れにも逆行しています。
③有給休暇の未取得
「働き方改革」の一環として、2019年に法改正がなされ、年10日以上の有給休暇を付与されている労働者に対しては、年5日の有給休暇を消化させる義務が使用者へ生じています。しかし、Aさんは、2022年度に15日の有給休暇を付与されていましたが、業務量が多いためたったの1日も消化できていませんでした。
◆教育の質向上のためにも非正規雇用で働く教員の待遇改善が必要
現在、教育現場では低処遇・1年更新の細切れ雇用で働く「非正規教員」が増えています。公立学校では1割〜2割程度ですが、私立高校では約4割が不安定で未来の見えない状況で働く非正規教員です。
広尾学園ででも非正規教員(常勤講師・非常勤講師)は年々増加し、約半数に及んでいます。そのため、非正規教員を中心に毎年20人ほどの教職員が退職するなど、教員が頻繁に入れ替わっている状況です。
このような状況では、生徒に対して継続した質の高い教育を提供することは困難だと私たちは考え、非正規雇用率の改善を求めていますが、学校は応じていません。
非正規教員は1年更新契約のため、学校に対して異を唱えるとすぐに雇い止めなどの報復を受けてしまいます。このような困難な状況の中で、今回勇気を持って在職の非常勤講師Aさんが学校へ声を上げました。非正規教員の待遇改善の問題は、教員だけでなく生徒・保護者の方含め、教育業界全体へ関わります。
ぜひ多くの皆様に応援いただけましたら幸いです。よろしくお願い致します。
◆教員の働き方を一緒に変えていきましょう
私たち私学教員ユニオンでは、教員の労働環境・生徒への教育環境を変えたいという教員を募集しています。私たちは、学校や雇用形態の垣根を越えて、教育業界全体を変えるために活動しています。互いの学校の問題改善を互いに支援して取り組んでいます。
ぜひ、私たち私学教員ユニオンまでお気軽にご相談ください。相談は無料、秘密厳守でおこなっております。
また、私学教員の方以外でも、教員の働き方や生徒への教育環境の問題に関心を持ち、活動に関わってみたいという学生・労働者のボランティアの方も募集しております。興味を持った方は下記の窓口までお気軽にご連絡ください。
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