【成女学園・東葉高校】36協定なし、残業代不払い等への是正勧告が報道されました!

1月10日に、成女学園中学校・成女高等学校(http://www.seijo-gk.ac.jp/index.html)と東葉高等学校(https://toyohs.ed.jp/)へ出された是正勧告について、厚生労働省で記者会見を行いました。

以下のようにメディアでも掲載されましたので、報告を致します。

また、記者会見に臨んだ当事者の想いも掲載しますので、ご覧ください。

◆記事内容

残業代未払い是正勧告 三六協定結ばず 新宿・千葉の私立校(毎日新聞 2020年1月12日)

https://mainichi.jp/articles/20200112/ddl/k13/040/005000c

 首都圏の二つの私立学校で、時間外労働に関する労使協定(三六協定)を結ばず、教員に残業代などの賃金が未払いだったとして、労働基準監督署が是正勧告したことが10日、分かった。元教員と加盟する労働組合「私学教員ユニオン」が都内で記者会見し、明らかにした。

 ユニオンによると、新宿区の成女学園中・成女高には新宿労基署が是正勧告した。三六協定が未締結の状態で残業させ、(以下有料会員のみ閲覧)

◆是正勧告の内容

【成女学園中学校・成女高等学校】

  1. 労働条件の明示義務違反(15条)

成女学園の契約書には労働条件の詳細が明示されていません。契約期間と月給と手当ての有無のみです。

また、勤務日・労働時間も書かれておりません。そのため、労働者は自分の労働環境の確認ができませんでした。また期限付きの教員が年度を跨いだ場合、契約書の再発行がされないこともありました。

  1. 長時間労働(32条)

創立以来36協定未締結のまま慢性的に残業をさせていました(8月末に締結しましたが、代表者選出に問題あり)。また、休日の出勤も日々あったにも関わらず割増賃金も発生していませんでした。17時の定時すぎから始まる会議も多くありました。

また、就業規則が昭和57年から更新しておらず「そこに書いてあるから」と長時間労働を課せられました。それによると月火木金は8:10-17、水8:10-18:10、土8:10-14:00とあり、時間外労働が前提とされていました。

  1. 割増賃金未払い(37条)

平日に慢性的に残業があり、土日も学校説明会や行事、外部説明会がありましたが割増賃金は未払いでした。1度だけ1000円が支給されました。ただ明細はなく手渡しでした。外部フェアに関わる交通費は支払われないこともありました。

なお、学校側は保護者に向け「差額を支払済」と説明していますが減額を繰り返し満額は払われていません。未解決のため次回団体交渉を要求するも拒否されました。

  1. 杜撰な労働時間管理(108条)

タイムカードもなし、また賃金台帳に記載すべきことが書いていない等管理が杜撰でした。自身が自主的につけている記録以外に勤務時間を把握するものはないにも関わらず、それを根拠に支払いを求めても、残業代全額が支払われていません。

【東葉高等学校】

  1. 労働環境の明示義務違反(15条)

東葉高等学校から発行された雇用契約書には、労働基準法上明示義務のある項目がありませんでした。契約期間と月給手当のみです。そのため労働者は自分の労働環境の確認ができませんでした。私の場合は他教員が土日休みにも関わらず、土曜授業を割り当てられ毎週土曜日が出勤でした。しかし、それに対する契約内容が記載されておらず後出し状態でした。

  1. 時間外労働(32条)

東葉高等学校では36協定を結んでおりません(団体交渉で学校も認めていました)。定時は8:15-16:30にも関わらず定時を過ぎる業務が慢性的にありました。休日も授業や行事、部活動で出勤していました。

  1. 休憩未所得(34条)

本来45分から60分の休憩時間を取る必要がありますが、昼休に委員会や会議などが入り十分な休憩時間がとれませんでした。会議等の業務は労基署より労働時間と認定されました。

  1. 割増賃金未払い(37条)

平日に慢性的に残業があり、休憩も法律通りとれず、土日も部活動や学校説明会、行事、土曜授業がありましたが割増賃金は適切に支払われてはいません。

土曜授業に関しては少数の若手教員のみ、年額たった5万5千円で毎週の授業を担当していました。他教員は基本的に土日休みでしたが、土曜授業を持たされると土曜日は勤務日になってしまい休む場合は有給を消化せねばなりませんでした。

なお団体交渉の後、昨年11月より学校に対して賃金支払いを求めていますが、未だ支払われていません。

◆当事者の思い

○成女学園について

成女学園は120年の歴史のある中高一貫校です。しかし、実際はさきに述べたように「古き良き」ではなく「悪しき伝統」をただただ続けていると感じられる職場環境にありました。

先輩の教諭は自分がいかに遅く帰ったか、どれだけ休んでいないかを大きな声で職員室で話し、代休さえも取ると文句を言われる等の環境にありました。

新宿労基署に通報したところ労基法を無視した勤務体制、支払われない給与などの問題は山ほどあり多くの是正勧告が出されました。

今もまだ未払いの賃金があり、セクハラ等の解決されていない問題も多くありますが団体交渉を拒否されています。団体交渉拒否もまた違法です。

なにより許せないことが学内での誹謗中傷です。私に関する事実無根のことを生徒に伝えたり、保護者宛に「未払い賃金は払い済み」「彼女は他の学校にも交渉を申し入れている」等の文章を発信しました。決して本当のことは伝えずに私ばかりを悪者・変わった人と宣伝しました。

未払い賃金の支払い、謝罪と誠意ある対応を求めます。

○東葉高校について

東葉高校は「自分たちは働き方改革をしている」と信じて疑わない学校でした。たしかに19:30に門は閉まります。しかしそれだけなのです。主要教科の若手教員数名のみが持たされる土曜授業、土日の部活動広報活動などに正当な対価は支払われてきませんでした。

団体交渉では、理事長が「給特法」を引き合いに「給与の中に残業代分が入っている」と発言がありました。しかし実際には支払われていないとともに我々私学の教員は公務員ではないため、給特法は適応されません。

あたかも自分たちは間違っていないと主張していましたが、実際は船橋市の労基署から数多の是正勧告が出されたように多くの法律違反を犯している現場だったのです。

未払い賃金もまだ支払われておらず、2か月経過しています。そのような状況にも関わらず私たちのユニオンのブログ記事を消せと一方的に要求はしてきています。

まずは然るべき賃金を払ってください。もちろん私にだけではなく勤務していた教員全員に。その上で今後同じことは繰り返さないようにしていただきたく思います。

○「先生だから仕方がない」は間違ってる

私は幼いころから教員になることを夢見ていました。きっかけは学生の時に母親を亡くした際、部活動の顧問の先生が何度も放課後私に声をかけ励ましてくれた姿をみたことです。私もそんな大人になりたいと教師を志しました。新卒で教員になりましたが、働き出して恩師と同じように生徒に寄り添う日々が続きました。しかしその対価は支払われず、働いても経済的に厳しい、生徒のためと思えば思うほど自分が苦しくなると気が付きました。

教員はボランティアをしているわけではありません。学校という仕事場で働く「いち労働者」にすぎません。しかし私をはじめとする多くの人々が持つ教員との思い出の多くは、教員の奉仕の精神から自主的に行なっていたものが多いのではと思います。部活も、放課後の相談も、生徒のためという思いから残業代の払われない時間外労働の一つです。

では時間外の労働をしなくてはいいのでは、という意見もあるかもしれません。しかし現状、学校では教員が無理をしないと回らない機能しない点が多くあります。だからこそ使用者は十分な人員を確保することが最重要であり、出来ないのであれば無駄・無理な業務をどうするのか検討し働きかた改革を進めるとともに法律を遵守すべきです。

教員自身もいまある法律違反の環境に慣れてはいけないし、「先生だから仕方ない」と我慢すべきではないと思います。

また、長く勤務をされている先輩方の中には「教員だから当たり前だ」と労基法などを全く無視した業務を押し付けたりと「休まない(有給を取らない)」「生徒のために無理をする」等を当たり前とする「美学」を重んじる方がいます。古い考えやしきたりを重んじる風土があることも事実です。

毎年、「生徒のため」を重んじる先生が大量に離職します。私立の求人は欠員補助ですから、求人の数だけ離職者がいるということです。

私立学校はとても閉鎖的な現場です。異動がないからこそ、おかしい事をおかしいと声のあげにくい環境にあります。しかし、正しい事を教える学校現場が正しい事をしないことはいかがなものでしょうか?運営体制も生徒の手本になるような、現場にしていって欲しいと強く願います。

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