【成女学園】 悪しき伝統を重んじる「古い学校」を変えたい
東京都新宿区にある成女学園(http://www.seijo-gk.ac.jp/index.html)で常勤講師(非正規雇用)として働いていた20代の教員が、私学教員ユニオンに加入し色が環境改善を目指して団体交渉をスタートしました。
多くの私学にある問題を含んでいます。
業界から、このような若手教員の使い捨てをなくしていけたらと思います。
♦赴任時からおかしいと思っていました
落ち着いた雰囲気の学校で教壇に立ちたいと成女学園の採用試験を受けました。長く歴史のある学校。ただ生徒数は3桁に届かない。少ないなと思いつつも、マンモス校に勤務した経験のある私はこれからの教員生活に対し期待に胸を膨らませていました。
しかし、その期待も数日で打ち砕かれます。最初の仕事が「職員室にあるゴミのシュレッダー業務」だったのです。一度に2枚しか処理できないシュレッダーで何時間も何時間も紙を切り続けました。自分たち新入社員の扱いにも疑問を覚え、他の研修などはないのかと不安になりました。
通常勤務に入った今年4/5。学校を出れたのは21時過ぎでした。「残業が多いのか」と先輩に聞くと「うちは帰れないよ」といわれました。泣きながら帰りました。
♦周りの雰囲気をみて、成績処理をした
以上のように新任への研修はほとんどされませんでした。「新しい人を育てる」という環境がない職場でした。中間試験後の成績処理は周りの雰囲気をみて、始めました。周りの先生がデスクトップに開くデータをみて「それはなんですか」とこちらから聞き、やっと教えてもらえる。生徒の今後に関わる成績処理でさえもちゃんと教えてもらえないことにショックを受けました。
♦人を壊す「職員室」の空気
この学校の職員室には「新しいものを嫌う」雰囲気がありました。会議で発言をすると「他の学校から来た人にはわからない。」と自分の意見は何度も潰され涙をしました。
長年にいる先生方はその人独自の「マイルール」があり、そのルールを外れるとひどく糾弾されました。部活動を引き継いだ際に前任の先生から「師範の連絡先」を渡され、連絡を取れと言われて取ったにもかかわらず、言ったことを忘れお怒りになりました。また「あなたの顔が暗くて周りに悪影響」、「なんで私の言うことがわからないのだ」と個室に呼ばれ大きな声で責め立てられました。
また同じ教科の先輩教諭から、「あなたの教材がわかりにくいと生徒が言ってた」と周りに人がいる中、大きな声で言われました。私の受け持つクラスを昨年持っていた先生からでした。
また、悪口もひどいものでした。無断遅刻をした教員に対し「どっかで自殺してるんじゃね」。妊娠している教員に対し「仕事をしない」。
そして定時で帰ると「お疲れ様でした」の声を無視されました。なかなか帰りにくくなりました。
♦休日出勤手当0円、残業代0円、タイムカードなし
この時代においてもなお、成女学園は今年の8月まで36協定を結んでいませんでしたが、現場では慢性的に残業がありました。定時過ぎに開催される会議、生徒指導、終わらない教材研究で残業がかさみました。
授業は一人で6展開も持っていました。国語I、国語総合、古典B、小論文、古典購読、漢字検定。勤務時間内には到底終わらない量でした。試験もこの数をたった一人で作りました。しかし、そのようなことをした残業に対する対価は0円でした。タイムカードもありません。
就業規則は昭和57年のものを依然として使っており、時代に合っていないものでした。
また、私は入試広報部のために土日に外部の進学フェアへの出張が多くありました。土日も手当は0円でした。現地でご飯を買うと、出勤した分マイナスになりました。手取りは20万そこそこ。専任には家賃補助が出るのに、同じ仕事にも関わらず常勤には出ませんでした。働いても生活が苦しい状態にありました。
♦休日出勤の代休を申請するも「自覚が足りない」「俺の頃はなかった」
休日出勤がかさんだので、教えられた手続きで午後代休を取りました。すると次の日、学年主任がやってきて「なんで昨日帰ったんだ」「なんで俺には報告しなかったんだ」「クラスを持っている自覚がない」と責められました。その上、「俺の頃には代休なんてなかった。」と執拗に言われました。
以降この学年主任とは折り合いが悪く、大事なことを教えてもらえなくなりました。学年会は私が授業をしている裏で行われ、内容を教えてもらえませんでした。また、クラス合宿には引率しなくて良いと言われ、会議にも出してもらえませんでした。しかし、数日後自分が引率者だと朝の会議で知るなど、嫌がらせが続きました。
♦うつ病の診断書を提出した瞬間退職へ
このような状況で勤務する中で、体調が悪くなりました。国語科なのに文字が読めなくなりました。正確には、読んでも内容が頭に入ってこなくなりました。
夜も眠れなくなり、朝起きているのに学校に行けなくなりました。通勤にタクシーを使うようになり、たった20万の給与では家賃を払うとそこまで残らず、タクシー登校によりどんどん生活が苦しくなりました。貯金を切り崩すようになりました。
不調を訴え二週間後の日付で退職届を出すも「就業規則には一ヶ月前に申し出るとあるから」と断られました。一ヶ月後の退職になりました。しかし、次の日からもいける様子がなく、その日の帰りに心療内科にいくと「うつ病、適応障害で三ヶ月休職」との診断が出ました。
次の日提出すると、早期退職を勧められました。就業規則に特別有給休暇があるので取りたいと言うと無視されました。そのまま勝手に退職ということになり今に至ります。生徒に挨拶もさせてもらえませんでした。
♦今年度赴任した教員の退職率は既に66%
今年度、私とともに着任した常勤講師は、私を含め3人。その中で現在勤務しているのはたった一人です。離職率は66%。
新しい人を潰す学校、おかしいと思います。36協定を結んでいない残業はこの時代にどうなのでしょうか。
教員の労働環境がしっかりしていないと、教育の質にも影響を与えます。何よりも生徒のために、この学校を変えたく思います。