【橘学苑】非正規雇用教員の「使い捨て」問題について、卒業生・保護者と記者会見を行いました!
3月10日火曜日、神奈川県庁会見室にて、橘学苑で起こっている、非正規雇用教員の「使い捨て」問題について、記者会見を行いました。この会見には私学教員ユニオンの組合員と当該非正規雇用教員のみならず、学校卒業生や学校卒業生保護者、職場同僚も参加しました。
◆概要
昨年4月、神奈川県横浜市にある「橘学苑中学校・高等学校」において、過去6年で約100名以上の非正規雇用で働く教員が大量離職している問題が、Yahoo!ニュースのトップで報じられ大きな反響を生みました。それにより、神奈川県や黒岩知事も調査や指導に乗り出す事態となりました。
教員が頻繁に変わる職場では教員・生徒・保護者との信頼関係が維持されづらく、教育の質自体が劣化せざるを得ないため、問題は多くの人に波及していきます。
そのような中で橘学苑中学校・高等学校では今年3月末に新たに非正規雇用教員を雇い止めにしようとしています。
◆学苑の問題実態
①非正規雇用教員の「使い捨て」は私学全体に広がっているが、今回の橘学苑に至っては昨年4月の報道があったうえに今年も同様のことをしようとしているので、反省の色もなく、強く社会的に批判されるべきであろう。
②学苑内部の実態
・今年度4月に大量退職問題で報道された学校である。
・派遣教員を含めると過去6年間で100人以上が退職している。
・校長に関してもこの15年間で5人辞めている。
・鶴見労働基準監督署からは2年続けて是正勧告を受けている。
・3年前に雇い止めに関して非正規職員からの訴えで労働審判が起きている。
・ここ2年間で教職員3名から訴えられ民事裁判が起きている。そのうちの一人は退職に追い込まれ、さらには退職を既成事実化するかのように新しい教員を急いで採用しただけではなく離職票の発行は不要という判断を学苑が一方的にして(失業給付が出ない)自己都合退職という形で証明書を提出し本人が失業給付すらもらえないよう学苑は仕向けた。
・異議申し立てをする教員は、理事長との接見は禁止とされ、服務規程違反だといわれ処分対象とされる。
・ニュースにも取り上げられた4月20日の保護者説明会で、間違っているとの声を上げた教員に対して懲戒が出された。
③生徒や保護者、卒業生に対しての実態
・学内では教員だけでなく多くの生徒や保護者、卒業生などが学校に対して声をあげている。
・大量退職報道での学苑回答の訂正や、誠意ある姿勢もなく説明会も不十分な形で終わり、説明責任を果たしていない。
・意見や要望を出す保護者は「ギャーギャー騒いでいる人たち」(法人事務長)と捉えている。
・全校集会での生徒が学校に対して問題を訴える。
・生徒たちによるビラ配り、それに対する対応(生徒に耳を傾けることなく、全校集会の場で今後は警察とも相談して対応するという発表がされた)
・冷静に、誠実な姿勢で話しに行った生徒が学苑長から恫喝される。
・生徒たちの切実な訴えを聞こうともせずに警察に通報した。
・理事や法人は保護者や教職員とのやりとりに関して学苑のお金を注ぎ込み代理人をたてて直接の交渉や話し合いを一切拒み続けている。
・多くの保護者が再三、署名や要望書を出しても学苑は事実上無視をしている。
◆雇い止めの実態
学苑が抱える問題に目を背けたり見て見ぬふりをすることなく、軸足を生徒・保護者に向けて生徒や保護者に寄り添い、生徒や学苑の未来のために学苑と生徒・保護者の間に入り、現場で尽力している教員ほど退職に追い込まれる。
当該非正規雇用教員については専任教員以上の仕事内容を積み重ねてきた実績がある。
・卒業生を送り出す高校3年生担任という非常に大きな役割を担当。
・入試時の学科試験官及び面接官(面接官は常勤教諭では唯一)を担当。
・大所帯の部活動の主顧問を務め、活動費の管理も担う。
・校務分掌では生徒指導のみならず、渉外担当として外部講師を招くなど対外的な役割も担う。
こうした、学苑のため、生徒のために多大な貢献をしてきた教員である。
そのような教員への学苑からの仕打ちとして、以下のようなものがあった。
①専任教員への転換を期待させる管理職の言動
・当時の橘学苑校長から前任校校長に向けて、
「素晴らしい人材を紹介してくれてありがたい。橘学苑にとって必要な人材である」という旨の電話があった。
・校長補佐に個室に呼ばれ「専任になる方向で話が進んでいる」と話を受ける。
・学苑長に個室に呼ばれて「生徒指導が素晴らしい。よって部活動主顧問にしたいと思っている」と話を受ける。
②常勤から専任への転換基準や手順が明確ではなく不公平をもたらしている
・学苑からは「総合的な判断」という話しかなく明確な基準の説明はない。
・当該教諭の授業や部活動、学校生活全般の様子を個別に管理職及び法人関係者が見に来たことは一度もない。よって教員としての活動を判断する材料がないに等しい。
◆生徒、保護者からの声
会見に限らず、学内では多くの生徒や保護者が継続して何度も声をあげて要望、嘆願している。それにもかかわらず、相手にされず、かき消されてしまう。理事や管理職に届いているのか、どう受け止めているのかもわからず、受け止めることも歩み寄ることも何もできない、ただただ泣き寝入りに追い込まれる状況である。
今回の会見でも卒業生・保護者からは生徒や保護者の声が一切届かない、先生たちがやめるということは先生だけではなく生徒や保護者も悲しんでいる、子どもはこの学校で一生消えない傷を負った、同じように拭いきれない傷を負った人たちはたくさんいる、これ以上同じ思いを味わってほしくない、人との結びつきをもっと大切にしてほしい、という切実な訴えがありました。
この学苑の中で多くの闇があり、多くの犠牲者が出続けていることを少しでも多くの方に知ってほしい。
学校という場所において生徒が犠牲となるようなことは断じてあってはならないはずである。本当にこのような学校の姿があっていいのだろうか。
世の中の皆様の声を聞かせてほしい、力を貸していただきたい。
この雇い止め問題を必ずや解決に導くまで我々は決して諦めません。