【#N高】団交報告〜N高「提出期限とおっしゃいましたけど、それって一方的に組合が定めただけであって約束でも何でもないですよね」〜
◆はじめに
本記事は2023年2月3日に実施した、私学教員ユニオンとN/S高等学校(以下、N高・学園)との団体交渉での学園の不誠実な対応について述べていきます。
私たちは、2021年3月から、学校の労働環境・教育環境の改善に向けて、団体交渉(話し合い)を継続しています。
これまでのN高の問題については、以下の記事などをご参照ください。
角川ドワンゴ「N高」に労基法違反で是正勧告!150人を担任し休憩も取れず(ダイヤモンド編集部)
私学教員ユニオンはN高以外にも多数の学校と交渉をしておりますが、N高の対応は他の学校と比べても酷いものです。
今回の団体交渉のレポートをお伝えしていく上で、他校の対応との違いについても注目してご覧頂ければと思います。
◆春闘申し入れについて
2023年1月16日、私学教員ユニオン含む総合サポートユニオン全体で、昨今の物価上昇に伴い政府も使用者へ賃金上昇を求めていることから、10%の賃金アップを求める春闘申入れに取り組み、それについての話合いを団体交渉内で行いました。
①要求書への提出期限も守らず開き直りの態度
まず要求書の返答ですが、半月ほど提出期限を設けたにも関わらず期限内に提出をして頂くことは出来ませんでした。他にも交渉中の私立学校へ同様の要求を行いましたが、非常に残念ながら、提出期限を守らなかったのはN高だけでした。
(何の伝達もなしに提出期限を守らないのは今回が初めてではありません。)
団体交渉にて提出期限を守れなかった旨を問いただすと、「提出期限とおっしゃいましたけど、それって一方的に組合が定めただけであって約束でも何でもないですよね」との返答がきました。
私たちは普段上司が、云わば‘’一方的に定めた提出期限‘’に間に合うように一生懸命仕事を行い、当然遅れる場合にはその旨を伝達するのが当然だと考えておりましたし、生徒たちへもレポートの期限などについてその様に教えてきました。
与えられた期限を守らなくて当然という態度には、教育機関としていかがなものなのかと開いた口が塞がりません。
②経営状況を理由に賃上げを拒むが、組合への財務諸表の提出は不可能とのこと
春闘での賃上げ要求の結果として、現在の経営状況では難しいとのことでした。
日本一の生徒数となり、学校の曰く‘’業務の効率化も問題なく進んでいる‘’状況の中で、初任給が最低賃金レベルの賃金を経営状況により引き上げられないと言うのは、私たちとしては到底納得ができず、財務資料を組合へ提出することを繰り返し求めていました。
もちろん、私たちも財務状況が本当に厳しいのであれば賃上げが不可能であることも納得しますので、財務を照らし合わせながら話し合いをすることが民主的な解決方法ではないかと考えております。
しかしながら、N高は組合への財務諸表提出を頑なに拒み、弁護士同伴で他言無用・メモ書きなども一切出来ない環境で教員個人への開示という条件に固執しています。複雑な財務情報をメモもなく覚えることは非常に困難であり、こういった厳しい制約の中で財務と照らし合わせての交渉は不可能です。
文科省も、財務資料に関しては、以下のように積極的な公開を学校法人へ求めています。賃金アップや人員増加などを協議する上でも必要不可欠な財務資料を出さないのは不誠実な対応だと私たちは考えます。
【参考資料】
「私立学校法の一部を改正する法律等の施行に伴う財務情報の公開等について(通知)」(平成16年・文科省)
・これら法律による閲覧請求権が認められる者以外の者に対しても、各学校法人の判断により、積極的な情報公開の観点から、柔軟に対応することが望ましい
・「正当な理由がある場合」に該当する場合であっても、例えば個人情報、が含まれる部分を除いて閲覧に供すれば問題が生じないと考えられる場合には、当該部分を除いて閲覧に供するなど、積極的な対応を工夫すべきであること。
◆団体交渉人数制限について
ユニオンは様々な組合員が助け合って交渉などを行う団体です。労働者という弱い立場が経営側と対等に交渉を行う為には、これは必要不可欠な条件であり、当初より団体交渉での‘’参加者の個人情報の開示・人数制限などがない‘’形での開催を求めています。
ですが、学園側はこれを頑なに拒否し続けており、私たちは事実上の団体交渉拒否として労働委員会へも訴えている最中です。
組合としては納得していないながらも、話し合いの場を持つことを優先して学園側へ譲歩した形で交渉を進めておりましたが、今回の団体交渉では、学園は人数制限を盾に、以前よりN高側と交渉を進めていたユニオン専従1名の参加さえも拒否してきました。組合側の人数が「(5名だったのが)6名になってしまう」と言うのです。
この日の他の参加者も以前から交渉に参加していたメンバーだったので、5人が6人になることで、話し合いをする上で一体どのような支障があるのかと聞いても、学園側から合理的な説明はされず、数分交渉しましたが埒があかず、私たちは断念しました。オンラインでの団体交渉であり、感染等を気にする必要もありません。
この程度のことも認めない「日本一の学校」を残念に思いました。
団体交渉に人数制限などの条件を一方的に提示してくることは、上に述べた財務諸表の開示同様、他の学校との交渉ではありません。
◆労働密度・教育の質について
以前の団体交渉(https://note.com/sguion/n/nd6b15b7d39a1)でも話した、「(N高)全体では、教員を含めて生徒約42名に1人の割合で常勤教育スタッフを配置しており、非常勤スタッフも含めれば、さらに多くのスタッフが生徒に関わっています。」と言う学校側の主張について、どの様な計算で42人に1人の割合なのか、工数計算(担当業務における「ノルマ」)を提示することを繰り返し求めましたが、今回の話し合いでも最終的に数字の根拠を示しては頂けませんでした。
私たちが繰り返し、現在調査書作成に大きな問題が起きているなど具体的事例を伝えていますが、学校側の姿勢は頑なです。
そもそも工数計算が、労働時間や労働の密度、教育の質に繋がる理由が理解できないとのことでしたので、「工数が多いと言うことは、数が多いので労働時間はもちろん労働密度が上がる。身体・心身に対する不安を生じさせるものである」などと何度も伝えましたが、理解ができない様子でした。
このため、今回も平行線で全く話が先に進まない状況でした。
因みに、学校がどの様な計算をしているかは不明ですが、こちらの記事(https://news.yahoo.co.jp/byline/konnoharuki/20230304-00333916)にある通り、教員1人あたりの生徒数は13人が全国の高校の平均であり、仮に42人であったとしても決して誇れる数値ではありません。
通信制高校には、様々な「手厚いケア」が必要な生徒が多くいるため、もっと少ない担当数にすべきと求めていますが、学校は聞く耳を持ちません。
◆おわりに
本記事をご覧頂ければ分かる通り、私たちとしては様々な問題について意味のある話し合いを行いたいのですが、2年ほど交渉を進めているにも関わらず、そもそも話し合いの土台にすら立たせてもらえていないのが残念ながら現在の状況です。
本来は建設的な話し合いを報告する為の本レポートですが、このような報告となってしまっていることを心苦しく思っております。
通信制高校を選ぶ生徒、及び通信制高校の数も増えている中、利益的効率を追い求め、教育の現場を軽視するようなN高の運営にこれからも闘っていきたいと思います。
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https://note.com/sguion/n/n4e2a13f03662
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