【橘学苑】団体交渉にて未だ交渉中にもかかわらず、橘学苑は組合員への不当な懲戒処分を強行
昨年の4月、橘学苑は「非正規雇用の大量雇い止め」問題について、Yahoo!ニュースのトップで大きく報道されました。ニュースには生徒や保護者、元職員と思われる方の声も取り上げられていました。
その報道を受けて、橘学苑は4月20日に保護者への説明会を開催しましたが、そこで行われた説明は、「100名を超える大量退職者」とあった人数は63名で、100名は越えていない」、「皆円満に退職された」、「テニスアカデミーなどの収益事業は問題ないとされた」というような、単なる報道内容の否定に終始しました。
それに対し、「実際は雇止めがあって、労働審判に至った例もあった」(事実です)という発言をした教員、そして、紛糾する保護者説明会の一部始終を録画していた教員の2名に対して、理事会は副理事長(事実上の最高経営責任者)を委員長とする懲戒委員会を立ち上げ、2月6日、この2人の職員に対する懲戒処分を下しました。
この件については、第3回・第4回の団体交渉で交渉事項としており、そこで異議申し立ても行っていましたが、非正規雇用の先生の雇止めについて集中的に交渉していたため、この件についての交渉が時間切れで行えませんでした。
しかしながら、3月25日(水)、橘学苑は交渉中であるにも関わらず、一方に「反論が無かった」として、職員室に懲戒処分をする組合員の名前やその内容を掲示しました。まさに暴挙です。
4月20日の保護者への説明会の終わりに、当時入学したてだった高校1年生の保護者の方が「学校は責任をもって全生徒を転学させることができますか。こちらはそういう覚悟です。今日、この場で声を上げた先生方が、来年いなくなるようなことが無いようにしていただきたい。我々全員が証人です。」という発言をされました。これは、学苑が不正をせず、正しく運営されることを願っての言葉でしたが、現在の理事は、このような保護者の信頼をも平気で裏切っています。
◆ただひたすら「撤回しない」の答弁。理事会を批判する者は消す。恐怖政治の場と化す私学の教育現場
橘学苑の経営陣(現理事)は、中学・高校含めて約900名規模の学校でありながら、学内だけで理事長、副理事長、学苑長、法人事務局長の4名います。これ以外に法人事務長、事務長、校長、副校長、教頭2名、教育顧問3名という、9名の管理職が存在します。
つまり、役職付きだけで13名もの専任職員が存在しています。そのほとんどの方は、授業をもつわけでもなく、部活動の指導等を行うこともありません。この理事たちは、今回私たちが雇い止め撤回を求めているD先生の件に対しても「撤回しない」としか言わず、今回の懲戒に対しても「撤回しない」としか返答しません。
現理事は、意に沿わない職員に対しては不当な人事配置を行い、それらに対して反対の声を上げる人間を徹底的に排除するため、職員会議等では、自分たちに都合の良い一方的な見解を発表することで、それらの先生の職場内での孤立化を謀っています。
その矛先は、あろうことか生徒・保護者にも向けられています。理事の方々の行為に対して異を唱えた生徒を恫喝する、副理事長に直訴しようとした生徒に対して警察を呼んだこともありました。自分たちに反抗する者は許さない、という非民主的な学校体制です。
このような人たちが経営陣ですので、多くの専任教員は、おかしなことがあっても声を上げることすらしません。非正規の先生方はなおさら、自身の雇用が保証されるか不安を抱えており、意見を言うことすら困難な状況です。「経営陣に目をつけられたら消される」まさに恐怖政治がおこなわれています。
◆教育現場が壊されていく
「公立だと、卒業後に母校を訪ねても、当時の先生は異動してしまっているが、私学だと、卒業して親になって、子どもを連れてきても当時お世話になった先生が居てくれる。そこがいいですね」ということを保護者は仰られます。ところが現在、その状況は崩れ去っています。
人を大切に育てる教育機関が、人を消耗品のように扱うなど、本末転倒です。担任としてお世話になった先生が、授業を教えてもらった先生が、あるいは、部活指導でお世話になった先生が、自分の卒業を待たずに去っていく。そのような教員の姿を見て、生徒は一体何を学べるのでしょう?将来への夢や希望をもてるでしょうか?逆に将来や社会への不安しか感じられないのではないでしょうか。
また逆に、本当に力のある先生などは、そのような職場に嫌気がさして、自らその学校を去っていくこともあります。有為な人材が流出していきます。公立学校以上に学費がかかる私学が、生徒の夢や希望を育むことができず、教育の質の担保すらままならない場となりつつあります。教育はまさに国の根幹です。私学が自らその存在意義を破壊しています。今その教育現場が壊されつつあります。
◆正しき者は強くあれ
これは本校の創設者土光登美氏(土光敏夫氏の母)の言葉です。今、私たちが求めているのは、まさにこの言葉に集約されています。これまでずっと記載してきたD先生の雇止め一つとっても、すべてが不合理です。
自分たちの立場を守るためだけの経営を行っている現在の理事たちによって、正しくないことが行われています。それらすべての是正を求めて、真に人を大切にし、人を育む教育現場の復活を求めて、私たちはこれからも闘っていきます。