私学教員無料労働相談ホットラインのお知らせです!

 (厚労省記者クラブでの記者会見の様子)

 本日、連携している「ブラック企業対策プロジェクト」(http://bktp.org/)の活動として、厚生労働省へ長時間労働や残業代不払いに関連する申し入れを行い、教員全体の労働環境改善につながる大きな成果を含んだ回答を得ました。以下のブログ記事の詳細をお読みください。

また、今週の金曜日と日曜日に、私学教員向けの無料労働相談ホットラインを行いますので、ぜひ、長時間労働や残業代不払いなどの労働環境に疑問を感じている教員の方は、お気軽にご相談ください。

今回の厚生労働省の回答からも分かる通り、授業以外の多くの業務が労働時間と認定される可能性が高く、長時間労働や残業代不払いの改善ができると思われます。

日時:8月31日(金)17時〜21時 9月2日(日)15時〜18時
電話番号:0120-333-774
相談料・通話料:無料

1.会見の趣旨・概要

教員の現在、学校教員の「働き方改革」が注目されていますが、主に公立学校の教員に集中しており、私立学校の教員は見落とされがちです。公立教員と異なり、私立学校教員は労働基準法が全面的に適用されますが、過労死ラインを超える長時間労働や残業代未払いが蔓延しています。その理由の一つが、「学校教員の業務内容がどこまで労働時間か」について、教員自身がわかっていない上に、労基署もまた、申告を受けても、過去に例がほぼなく、明確な基準がないからです。
そこで私たちは私立学校教員の授業準備や部活動などの業務に関し、労働時間として認定できるのか、厚生労働省に回答を求めました。
なお、当日の会見には、関大付属校で労基署に残業代未払いなどの労基法違反を申告した教員Aさんも参加しました。Aさんは関大付属校教員組合に所属して同校の長時間労働の改善を求めていましたが、今年4月に不当解雇を受け、現在解雇撤回を求めて提訴中です。

2.厚労省への質問・申し入れ内容

(質問1)関大付属校では3度の是正勧告でも残業代を全額支払っていないので、指導を求める。
(質問2)労基署に申告した労働者を解雇したことを労基法104条違反として、指導を求める。
(質問3)厚労省は教員の業務(「授業準備、および授業準備に関わる教材研究」「生徒への補習」「保護者対応」「生徒対応」「業務に関わる会議・打ち合わせ」「登校指導」「入試事務」「部活動指導」「給食指導」)について、労働時間として考えているのか。

3.関大付属校の事件について

(1)関大付属校の労基法違反と是正勧告
関大付属校には、この2年間ですでに3回の労基法違反の是正勧告が出されています。2017年4月、2018年3月、7月と連続で出されています。内容は、2017年4月の1回目が、36協定を締結しない違法な時間外労働(労基法32条)、毎月の労働時間を賃金台帳に記入していなかったこと(労基法108条)。2018年3月の2回目が、残業代未払い(労基法37条)、36協定を締結しない違法な時間外労働(労基法32条)です。

(2)労基署に申告した教員が不当解雇
Aさんは関大付属校教員組合に所属し、中心的に同校の長時間労働の改善を求めて、労基署にも残業代未払いや違法な時間外労働について申告をしてきました。その結果、今年4月に不当解雇を受け、現在解雇撤回を求めて提訴中です。

(3)同校では組合の要求を受け、部活動などの業務を労働時間として認める
関大付属校では、今年6月、関大付属校教員組合の団体交渉での要求を受けて、「授業準備、および授業準備に関わる教材研究」「生徒への補習」「保護者対応」「生徒対応」「業務に関わる会議・打ち合わせ」「登校指導」「入試事務」「部活動指導」「給食指導」を労働時間として認め、業務時間外に行われた場合に残業代が支払われる業務であると認めました。

4.厚労省の回答内容と質疑内容(8月30日)

※厚労省側出席者
・厚生労働省労働基準局監督課 企画・法規係長、厚生労働省労働基準局監督課 監督係

●(質問1)(質問2)について
法律の違反が確認された場合には、指導を行うとのこと。

●(質問3)について
・部活動や教材研究など9の業務項目いずれも、学校側による明確な指示はもちろん、「黙示の指示があった場合」は、重要な判断ポイントとして、労働時間として判断できる可能性が高い。
→「業務に付随するもので必要不可欠であれば、黙示に命令していると判断できる。」
→一般例として、採点業務などは可能性が高い。
→学校側が「これは教員の自主的な活動」であると発言していたとしても、黙示の指示があれば、労働時間として判断できる。

・厚労省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(平成29年1月20日策定)」も判断根拠となる。
→「使用者の指示があった場合には即時に業務に従事することを求められており、労働から離れることが保障されていない状態で待機等している時間(いわゆる「手待時間」)」

・私学における具体的な判断ポイントのひとつに、当該業務が「学校の教育計画に位置付けられていること」もある。

● 再度の要請(8月30日付)
(1)過去に厚生労働省として、私立学校の業界団体や労働基準監督署に対して、私立学校の労働時間の判断について要請や通達等を出したことはあるのか、ご回答ください。
(2)新たに厚生労働省として、私立学校の業界団体や労働基準監督署に対して、私立学校の労働時間の判断について要請や通達等を出すように求めます。

 

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