【N高】N高は労働問題解決に向けて、誠実に団体交渉へ応じてください!

こんにちは。

 私たち、私学教員ユニオンは学園法人角川ドワンゴ学園N高等学校・S高等学校(通称、N高・S高、以下学園)と団体交渉を行っています。

 現在、第1回団体交渉(5/2)以降、学園は事実上の「団交拒否」をしています。また、7/17(土)に団体交渉開催のための予備折衝(団交再開に向けた条件確認)を行いましたが、こちらの要求を聞き入れる姿勢は見られず、開始15分ほどで「交渉決裂ですね。終わりでいいですか?」という発言さえ出ました。1時間話し合ったものの、こちらの訴えを聞き入れてもらうことは出来ませんでした。

 学園側は6/29のyoutube上での記者会見にて「教員たちとコミュニケーションを取りたい」と言っていましたが、そのような姿勢は全く見られませんでした。

 本記事では現在、何故団体交渉の開催が出来ていないのか。そして学園の対応の不誠実さ、不当労働行為(労働組合法違反)に当たる行為を記載して参ります。前提として、使用者は労働者・組合に対して誠実に交渉に応じる義務があり、それを履行しないこと、話し合いにおいて解決策を模索しないことは不当労働行為に当たります。そのことを踏まえて以下をご覧いただければと思います。

1,団体交渉が難航している理由

 5/2の団体交渉にて、5/30に第2回団体交渉を行うことを取り決めました。それに向けて組合側は意見文(要求書)を学園との取り決めに従い、5/10に提出しました。学園の返答書は、学校側の時間的な都合に配慮し、5/26までに返答をもらうように依頼しました。しかしながら、学園からは26日になっても連絡は来ず、こちらから返答書の送信を依頼したところ「28日までに送信します」とだけ返信が来ました。

 そして、28日の22時過ぎに返信が来ました。30日に団体交渉があるため、その返答書の内容を踏まえて話し合いに臨む必要があるにも関わらず、2日前の22時過ぎに返事が来たのです。この時点で不誠実極まりないのですが、その返答書で学園は団体交渉を実施するための条件を一方的に突きつけて、それを飲めないようならば団体交渉は延期するという、事実上の団交拒否の姿勢を示しました。繰り返しになりますが、団体交渉2日前の22時過ぎにです。それでは事前に内容の十分な検討もできず、有意義な団体交渉が成り立ちません。

2,学校が突きつけてきた条件

 学校が要求した事項は以下の3つです。

(1)団体交渉に参加する組合員の名簿提出

(2)団体交渉の人数制限

(3)団体交渉で知り得た内容の情報漏洩の禁止

以上の3点についてそれぞれ記述します。

(1)団体交渉に参加する組合員の名簿提出

 学校側は、団体交渉に参加する組合員の個人情報(氏名や所属する会社)を公開しなければ第2回団体交渉は行わない旨を通達してきました。

 私たちの組合は誰でも1人から入れる個人加盟型の労働組合(ユニオン)であり、ユニオン内での助け合いで活動が成り立っています。現段階では学園の規模に対して、N高で働いている組合員の人数が少なく、違う企業で働いている組合員の助けを借りないと、立場の弱い労働者の要求を実現することは難しい状況です。これはN高との団体交渉に限った話ではなく、他の学校・企業との団体交渉でも同様に、違う学校・企業で働いている組合員がお互いに助け合う形で団体交渉に参加しています。なお、その際に組合員の氏名や所属を要求することや、それを公開しないのならば団体交渉に応じないという要求を出されたことは今までありませんでした。

 組合員はそれぞれの企業に所属しており、中には企業に組合員であることを伝えずに活動に参加している人もいます。そのため、所属と氏名を公開することは非常にリスクがあるので、個人情報の開示要求を受け入れることはできません。

(2)人数制限について

 団体交渉の人数制限をする理由として、学園は「秘匿情報に触れるため」を挙げました。組合側はN高以外で働く組合員はオンラインでの参加で、重要事項・秘匿事項に当たる場合は音声接続を切って、秘匿情報は外部に漏れないようにすることを提案しましたが、学園側はこれを拒否しました。また、どの部分が具体的に秘匿情報に当たりそうなのか聞いたところ、学園は「全部が秘匿情報です」と返し、話の折り合いをつけようとする姿勢は見られませんでした。

 具体的に秘匿情報(例えば財務状況等)を指定してくれれば、それをN高以外で働く組合員へは共有しないと譲歩しているにもかかわらず、頑なに自己の主張に固執する姿勢は、団体交渉で解決を模索する気がないと感じざるを得ません。

(3)団体交渉で知り得た内容の情報漏洩の禁止

 学園は5/24のダイヤモンド社の記事に対して「団体交渉で知り得た情報を漏洩した。」ということで、それを理由に団体交渉を拒否しました。こちらについては、学校に対して当該記事のどこが団体交渉で知り得た情報であり、漏洩に当たるのかと聞いていますが、具体的な指摘は返ってきません。

 そもそも団交で知り得た情報を一切外部に発信してはいけないという規則はありません。(2)にも記載している通り、学校側はとにかく全てが秘密主義であり、それが守られないのであれば団体交渉に応じないという、完全に自分たちの都合によって団体交渉を事実上拒否しています。

3,最後に

 学園側は基本的に組合の訴えに耳を傾ける姿勢は感じられません。一部、休憩未取得などの明白な法令違反については労基署の勧告があったことも踏まえて調査に乗り出しましたが、それ以外の部分に関しては全くと言っていいほど話し合いに応じません。

 以下、組合が訴えているにも関わらず、一切協力的な姿勢を感じられないものを列挙します。

 ・1教員あたりの担任数150人の軽減

 ・固定残業(40時間)制度の軽減、廃止

 ・休憩とされている時間にも仕事をしている (=時間外労働が発生している)

 ・教員の給与(現在、時給換算すると最低賃金とほぼ同等)の向上、ベースアップ

 ・主事、主幹(学年主任、キャンパス長)の労働改善(サービス残業過多)

 ・住居手当などの福利厚生(現在、福利厚生に該当するようなものはほぼない)

 ・ジョブローテーション(会社による無制限の人事異動件。転居を伴う)の拒否権

 ・契約社員の正社員登用への具体的な基準の明示

 上記問題全てにおいて、解決策を考えていくというよりはむしろ「問題が生じていないから変える気はない。」と、何としても現状維持、改善しないという姿勢を強く感じます。

 冒頭でも述べた通り、使用者は労働者・組合に対して誠実に交渉に応じる義務があり、それを履行しないこと、話し合いにおいて解決策を模索しないことは不当労働行為に当たります。

 私たちはこれからも学校側に現場教員の声を届けていき、教員ひいては子どもたちのために学校側と交渉を続けて参ります。