【#広尾学園】タイムカードがない、求人の不適切表示など問題噴出の実態

 私学教員ユニオンへ広尾学園で働く非常勤講師のAさんが加入し、学校の労働環境・教育環境改善に取り組んでいます。


 Aさんは、定年後再雇用の際に1人だけ非常勤講師になるという差別を受けています。詳細は、こちらの記事をご参照ください。

https://note.com/embed/notes/n672be0c5a343

 また、学内においては、それ以外にも様々な問題が発生しており、私たちは改善を求めています。ぜひ皆さんに知っていただきたいので、ブログ記事を書くことにしました。

◆「教員の働き方改革」に逆行する「タイムカード」の廃止

 現在、教員の労働環境の悪さは社会問題となっており、文科省も「教員の働き方改革」を進めています。教員の過重労働の防止や心身の健康・安全を把握する上では、客観的な労働時間管理が大前提です。

 それについては、厚労省もタイムカードなどの「客観的な労働時間管理」を使用者へ義務付けています。

【参考】
客観的な記録による 労働時間の把握が 法的義務になりました(厚労省)

 しかし、広尾学園では、これまで使っていたタイムカードを、2022年9月に突然廃止しました。なぜ、自ら法律違反をしようとしたのか、私たちは理解ができません。このままでは、長時間労働や賃金不払いなどが生じてしまう可能性があり、私たちは法律を守るように求めています。

◆賃金さえわからない不適切な求人表示

 職業安定法では、以下のように使用者は求人を出す際に、賃金や労働時間などの基本的な情報を明示する義務が定められています。それがないと、使用者がいくらでも後出しで労働条件を変更できたり、「誇大広告」のような労働条件を出して人を集めることができてしまうからです。

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職業安定法が求める具体的表示内容

【参考】
労働者を募集する企業の皆様へ(厚労省)

 しかし、現在広尾学園がHPにて出している求人では、賃金は「本学園の規定による」とあるだけで具体的に明示されていません。これでは、これから広尾学園で働こうと思った教員の方がいても、安心して応募することもできません。法律に則り、誠実に労働条件を示すべきだと私たちは考えています。

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現在の広尾学園HPの求人表示

【参考】
現在出ている英語科の求人

◆非正規教員の待遇改善

 Aさんは現在、1年更新の非常勤講師(非正規雇用)として働いています。学内では、非正規雇用で働く教員が約半数となっており、とても高い状況です。

 また、非正規教員は、正規教員とは健康診断の内容が異なっていたり、賞与がなかったり、契約更新の上限が5年になっているなどがあります(上記求人票にも明記されています)。

 このような環境では、毎年のように非正規教員が離職してしまい、教育の前提となる生徒・保護者との関係構築を困難にさせるなど、結果として生徒への教育の質の低下も招きます。私たちは、非正規雇用率の低下や非正規雇用差別の改善を求めています。

◆休憩未取得や授業外業務への賃金未払い

 学内では、授業以外にも、授業準備や事務作業、臨機応変な生徒対応等たくさんの業務を教員は担っており、Aさんは休憩が十分に取れない日がありました。法律では、使用者は1日1時間または45分の休憩を取得させないといけません。また、休憩時間は労働者が完全に業務から離れている時間を指します。

 昨年発表された教員の休憩時間の取得状況を調べた名古屋大・内田良教授の調査では、小学校教員は0分(51.2%)が最も多く、平均9.4分、中学校教員も0分(47.3%)が最も多く、平均14.6分という状況でした。多くの教員が法律上の休憩を十分に取得できていない状況が明らかとなっており、Aさんも同様でした。

 また、それに対して賃金が適切に支払われていないこともありました。特に、Aさんの場合、自宅での「持ち帰り残業」もありました。前出の調査では持ち帰り残業も調査しており、平日または土日における1日あたりの持ち帰り仕事時間数は、小学校教員で平日56分、土日1時間21分、中学校教員で平日50分、土日1時間28分という数値が出ています。多くの教員がAさん同様、学内だけでなく自宅でも業務を行っているのです。

【参考】
 小中学校教員の半数が「休憩時間0分」、6割超が「辞めたいと思ったことがある」 名古屋大調査で明らか(2022年05月13日・弁護士ドットコム)

◆教員の働き方を一緒に変えていきましょう

私たち私学教員ユニオンでは、教員の労働環境・生徒への教育環境を変えたいという教員を募集しています。私たちは、学校や雇用形態の垣根を越えて、教育業界全体を変えるために活動しています。互いの学校の問題改善を互いに支援して取り組んでいます。
 ぜひ、私たち私学教員ユニオンまでお気軽にご相談ください。相談は無料、秘密厳守でおこなっております。
 また、私学教員の方以外でも、教員の働き方や生徒への教育環境の問題に関心を持ち、活動に関わってみたいという学生・労働者のボランティアの方も募集しております。興味を持った方は下記の窓口までお気軽にご連絡ください。
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