【#広尾学園】事実上の団体交渉拒否を続けるのをやめてください!

 みなさん、こんにちは。私たち私学教員ユニオンは、今年5月、広尾学園へ労働環境改善のための話し合い(団体交渉)を申し入れました。現職の非常勤講師のAさんが私たちの仲間に加わりました。

 7/11(火)、広尾学園との第1回団体交渉が、団体交渉を申し入れてから約2カ月を要し、ようやく開催されました。学園側の出席者は、池田理事長、現事務局長、前事務局長、副校長、副校長補佐、教頭2名の7名の管理職と学園の代理人弁護士1名の計8名が出席しました。

 しかし、結論からいうと、学校側が私たちが改善を求める学内の労働問題について、団体交渉の議題にすることすら事実上拒否し、交渉が成立しませんでした。その経緯について、ご報告したいと思います。

 労働組合から話し合いを求められた労働問題について、正当な理由なく交渉を拒否することは「不当労働行為」という労働組合法違反の行為です。交渉に応じた上で、納得できないならば内容的に否定すれば良いものの、そもそもテーブルにつくこと自体を拒否する学校の姿勢は、不誠実な対応以外の何ものでもありません。

 池田理事長をはじめ多くの学校幹部が参加をしていましたが、皆、学内で起きている以下の労働問題を改善したくないのだと思います。

 教員の労働環境は、生徒の教育環境に直結する問題です。生徒や保護者の皆様も、ぜひ現状を知っていただき、池田理事長はじめ学校幹部に対して問題解決に動き出すようお伝えいただけたら幸いです。

◆一方的に話し合いの議題を制限する不誠実な対応


 私たちは学園に対し、学内で起こっている以下の労働問題について、全般的な改善を求めています。学校は応じませんが、使用者が交渉に応じるべき「労働問題」以外ありますでしょうか?

①定年後再雇用差別
他の定年後再雇用の教員と異なり、意に反して一人だけ非常勤講師雇用となったことに関して、その基準や合理的理由の回答をした上で、常勤講師雇用にするよう求めています。

②労働時間
契約時間外での授業準備・生徒対応・持ち帰り残業等を労働時間として認めるよう求めています。また、タイムカードが昨年突然廃止されたので、法律通り再度客観的な労働時間管理をするよう求めています。

③休憩
法律通り、休憩を1日45分ないし60分、自由時間として取得できる環境を整備するよう求めています。現状では、授業準備や生徒対応等を休憩時間中に行うことで、事実上、1日10分程度しか休憩を取れていません。教員の増加などが必要です。 

④賃金
上記のように、契約時間外で様々な業務をしていますので、賃金を法律通り1分単位で払うよう求めています。また、物価上昇が続く中で政府や財界も使用者へ賃上げをするよう求めていますので、私たちも賃上げを求めています。特に非正規教員は待遇が低く生活が苦しい状況です。

⑤非正規教員の待遇改善
・学内の非正規教員の比率やその推移を情報開示するよう求めています。毎年のように非正規教員を「使い捨て」にすることは生徒への教育の質を下げることにつながります。非正規教員比率の改善を求めています。
・正規教員と非正規教員で健康診断の内容が異なるなど差別がありますので、改善を求めています。
・現行法では、非正規労働者が5年以上同じ職場で働くと無期雇用へ転換する権利が生じますが、広尾学園では契約の更新上限を5年と設定し権利が生じる前日に辞めさせられる契約となっています。その改善を求めています。

⑥「求人詐欺」
現在学校が出している求人においても、賃金は「本校規定による」などとし、職業安定法が求める明示事項を出していない状況が見られます。教員不足解消のためにも、求職者が安心して就職活動ができる環境を整備するよう求めています。

⑦部活顧問任意制の導入
教員の過重労働の最も大きな原因は部活動と言われています。部活は学習指導要領上も任意の活動となっていますので、教員の部活顧問への就任を任意とするよう求めています。近年、公立含めその分野に詳しい外部指導員の導入も進んできています。

⑧学内での労働組合の活動
労働環境改善の取り組みや労働相談窓口の周知のため、学内掲示板等の利用を求めています。

⑨資料開示
私たちは以上のような学内での労働問題を改善するために、その前提となる資料として、例えば過去の労働時間記録や学内の規定などの開示を求めています。しかし、それらも私たちへ十分に出してくれません。労働時間記録を出さずに、労働時間や休憩、未払い賃金などの問題についてどう話し合えというのでしょうか。

◆労働問題改善から逃げ続ける学校幹部たち

 私たちは5月に文書で上記の議題について交渉をするよう要求しましたが、学校は①の定年後再雇用の問題のみしか話さない、だから団体交渉の時間は1時間で十分だなどと一方的に書面で回答してきていました。
 
 そのため、初回団体交渉の冒頭で、改めて上記の9項目の議題に関して話し合いに応じるように求めました。しかし、なぜか学園側はすべての議題について「応じないことはない」と曖昧な回答を繰り返し続けました。堂々巡りなので、最後に、私たちは「回答拒否という受け止めでいいですね?」と再度投げかけましたが、やはり明確な回答はいただけませんでした。

 団体交渉をスタートするにあたり、まずは改善すべき議題を明確化し、順次議論していくことは当たり前のことです。しかし、今回は、そもそも交渉の議題さえ確定できず、1時間半もの時間を費やしただけで団体交渉は終わってしまいました。

 なぜ、「応じる」と学園側はシンプルに回答することをここまで拒むのでしょうか?私たちは、学園が正々堂々と交渉のテーブルにつくことを求めているだけなのです。それさえも拒むのはいったいどうしてなのでしょうか?繰り返しになりますが、議題として認めるということと、私たちの要求を認めるということは全く別の次元の話ですが、そもそもその問題を話し合うことすら拒否というスタンスでした。

 労働者の労働環境、労働条件に関することがらは前述のように学園側が団体交渉に応じなければならない「義務的団交事項」であり、交渉に応じないことは不当労働行為にあたります。これでは事実上の団体交渉拒否です。今ある労働問題の改善をしたくないと言っているようなものです。

◆学内組合と話すので学外労組と話さない?

 さらに、学園側は①再雇用問題の議題以外は、学内組合とのみ交渉すると発言しました。

 まさにこれも労働組合法で禁止している「組合間差別」であり、こちらも不当労働行為(労働組合法違反)にあたります。

 私たちは、このような学園側の不誠実な姿勢に対して、強く抗議いたしました。9項目の議題について、話し合うことすら承諾しない学園に対して不信感のみが残った1時間半となったことは、非常に残念であり、学園側の責任は重いと考えています。

◆教員の働き方を一緒に変えていきましょう

私たち私学教員ユニオンでは、教員の労働環境・生徒への教育環境を変えたいという教員を募集しています。私たちは、学校や雇用形態の垣根を越えて、教育業界全体を変えるために活動しています。互いの学校の問題改善を互いに支援して取り組んでいます。
 ぜひ、私たち私学教員ユニオンまでお気軽にご相談ください。相談は無料、秘密厳守でおこなっております。
 また、私学教員の方以外でも、教員の働き方や生徒への教育環境の問題に関心を持ち、活動に関わってみたいという学生・労働者のボランティアの方も募集しております。興味を持った方は下記の窓口までお気軽にご連絡ください。

電話番号 03-6804-7650
(平日17~21時/日祝13~17時 水曜・土曜休み)
メール info@sougou-u.jp
ユニオンサイト内の相談フォーム
https://sougou-u.jp/soudan/
LINE相談
総合サポートユニオンの公式LINEアカウントに友だち登録をして、相談内容をお送りください。
ID: @437ftuvn
https://line.me/R/ti/p/@437ftuvn

◆寄付のお願い

 私たちの活動運営費の大部分は寄付で成り立っていますが、費用の不足が私たち総合サポートユニオンの課題となっています。総合サポートユニオンの活動に賛同し、寄付をいただける方は、noteのサポートや、下記から寄付をしていただけると幸いです。

年会費で寄付する(総合サポートユニオンを支える会)|総合サポートユニオン 私たち総合サポートユニオンは、企業を超えて個人で加盟できる労働組合です。非正規雇用や女性など、特に立場の弱い労働者たちを支 congrant.com